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小川 芋銭（おがわ うせん）

日本画家

生没： 1868年 - 1938年

小川芋銭は日本画の画家。早くから河童の絵を多く描いたため「芋銭のカッパか、カッパの芋銭か」と称される。画壇的な思考に囚われず、独自のユーモラスな画風で農村の風物や水辺の生き物を好んで描いた。

はじめ小川家の親戚にあたる洋画家本多錦吉郎の画塾彰技堂に入り洋画を学ぶが、周囲の南画や日本画の画家から影響を受け、日本画へと傾倒していく。

政治家・尾崎行雄の推挙を得て新聞社の入社し、帝国議会の挿絵や漫画を描くなどした。明治41年に挿絵をまとめた『草汁漫画』を出版すると、新聞社などからの依頼が増え、絵も売れるようになりはじめる。

本格的な日本画を目指し、大正4年川端龍子や平福百穂らと珊瑚会を結成。2年後、その珊瑚会に出品した水墨画「肉案」が横山大観の目にとまり、日本美術院同人となる。

【生い立ち】
藩士の子として生まれるが、明治の廃藩置県により移住し、農業を営む。身体が弱かった芋銭は、小間物屋に働きにだされる。親戚に引き取られると、近くの小学校に通わせてもらうことができた。上京するとそこでの絵との出合いが、のちに本格的に画家を志すこととなる。

世に認められるようになった矢先、牛久に呼び戻され、父の強い意向で農業をしなければならなかった。身体が弱かった芋銭には大変苦しい日々となったが、その支えになったのは妻のこうであった。夫の分まで農業につとめる妻の苦労を思い、苦しい生活の中でもくじけずに絵を続けたのであった。

最晩年に建てられた住まい兼アトリエ「雲魚亭」は、小川芋銭生誕120年記念事業に際し、遺族から牛久市に寄贈される。現在は「小川芋銭記念館」として一般公開されている。（所在地：牛久市城中町2690-3）

【雅号】
本名：小川茂吉。幼名：不動太郎。雅号：「芋銭」は、「自分の絵が芋を買うくらいの銭（金）になれば」という思いによるという。