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東山 魁夷（ひがしやま かいい）

日本画家 文化勲章　文化功労者

生没： 1908年～1999年

東山 魁夷（ひがしやま かいい、1908年（明治41年）7月8日 – 1999年（平成11年）5月6日）は、昭和を代表する日本画家の一人。加山又造・平山郁夫とならび、「昭和三山」と称される。文化勲章受賞、文化功労者。

相次ぐ苦難の中で風景の美しさを見出し、『残照』が日展で特選を受賞。それを契機に風景画に専念し、3年後には代表作となる『道』を発表。画壇でも認められる存在となった。主に日展で活動し、湖や桜、森や海など、人物のいない独自の心象風景を追求。幻想のように現れる「白い馬」は見る人の心に内在している＜祈り＞の象徴である、と語る。唐招提寺障壁画を手掛け、名実ともに国民的日本画家として広く知られる。
現在でも高い人気があり、絵画作品は原画だけでなく、リトグラフも質がよく、ギャレリーなどで高額で販売されている。

本名は新吉。横浜市出身である。横浜海岸通りで、船具商であった父浩介と妻くにの次男に生まれる。一家は3歳の時に神奈川県を離れ、神戸西出町で少年期を過ごす。進学した兵庫県立第二神戸中学（現兵庫県立兵庫高校）は、小磯良平や版画家川西英などを輩出しており、在学中から画家を志した。

東京美術学校（現：東京芸術大学）日本画科へ進学。小堀鞆音、川合玉堂、結城素明らに師事。同期生には橋本明治らがいる。在学中に第10回帝展に初出品。「山国の秋」で初入選を果たす。入学当初からドイツ留学を目指し独語を学ぶ。
美術学校を卒業後、1933年に渡独。ドイツのベルリン大学（現フンボルト大学）に留学し、イタリア中世からルネサンスの美術史および、海外で日本美術史を聴講する。

1945年終戦を迎えると、山梨県中巨摩郡落合村（現南アルプス市）に一時滞在。その後千葉県市川市に移住。1953年には大学の同窓・吉村順三設計により自宅を建てる。終の棲家となり、50年以上に亘りその地で創作活動を続けた。

父親の稼業の不振から、画学生時代から挿絵を描いて学費をまかない、ドイツへは貨物船で渡った。帰国後は、家族の死や招集などで制作活動を断念せざるをえない時期もあった。それでも帝展・新文展・日本画院展・日展に出品を続ける。

1947年第3回日展で「残照」が特選を受賞。時代は戦後となっており、39歳でようやく画家としての本格的な出発となった。以降、風景を題材に独自の表現を追求。1950年には代表作となる「道」を発表。革新的な作風で画壇での地位を確立し、社会的認知度も高まることとなる。

1960年東宮御所の壁画の依頼を受け「日月四季図」を制作。1970年代には約10年の歳月をかけて制作した奈良・唐招提寺御影堂障壁画「黄山暁雲」は畢生の大作となった。この一大プロジェクトは国内での知名度と人気を確実なものとし、国民的日本画家と呼ばれるようになる。

人気作家となってからも、北欧、ドイツ、オーストリア、中国に取材し、次々と精力的に制作。北欧の旅で日本の色は「あお」という思いを強くし、生涯「あお」を追求し続け、1999年「夕星」を絶筆に90歳で死去。死後も回顧展などが開催されるたびに、多くの感動を与えている。

生前、日展への出品作など代表作の多くは東京国立近代美術館と長野県に寄贈された。その他に少年時代を過ごした神戸市、祖父の出身地である坂出市にも、版画を中心とする作品が寄贈されている。

従三位、勲一等瑞宝章受章。日展審査員、日本芸術院会員、文化財保護審議会専門委員、東京国立博物館評議員、自然環境保全審議会委員、日展理事長、日中文化交流協会代表団団長などを歴任した。